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光の庭 …光追う手…
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光の庭

0:記憶の場所 1:木陰と雲の中 2:光の庭
3:木の枝の上 4:名前呼ぶ声 5:秘密の場所
6:雨の庭 7:輝く香 8:籠の中の音 9:光追う手
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「…っ…咲音」

「なぁに」

「なーに、じゃねぇだろ…てめ…さっきの薬…何だあれは」

薬だと決めてかかっている辺り、咲音も信用がない。しかも、もう光流は気づいているらしかった。まぁ、弱いものだったからそれも当然だろう。まだまだ正気を保っているはずだ。咲音は信号で止まったときに光流を確認したが、何かに耐えているような様子だった。睨んでくる目に、ぞくっと欲情する。

「ここで犯して欲しいの? そんな目で見られたら…我慢出来なくなっちゃうよ」

「んなわけ、ねぇだろ…あぁもう、ちくしょ…っ」

そうとう、悔しそうだ。

しばらくしてマンションについた。荷物は一度に運びきれないので、とりあえず二人とも自分の荷物を持って部屋へと上がった。光流のも持とうかと言った咲音だったが、光流に拒否されてしまった。ちょっと、怒らせてしまって居るみたいだ(当然だろうが、当然だということに咲音だけが気づいていない)。残りの荷物を取るために、咲音だけがまた駐車場へ戻った。最後の荷物を手に部屋へ戻ると、光流の姿が無い。

「…?」

リビングを抜けて寝室へ向かおうとしたら、ソファに倒れ込むようにしているのを、見つけた。

「…ぁ…っく……う……」

咲音が戻ってきたことに、気づいていないようだ。ばれない角度から覗き込むと、光流の指が自身の物をしごいているのが見える。薬を塗ったのは直腸なので、それでは根本的に解決されないはずだが。

「光流」

「――!!」

声を掛けたら、ようやく気づいて、かぁっと赤くなるのが分かる。可愛い。小さく笑うと咲音はソファの前に回って、止まってしまっている光流の手の中から、ペニスを奪った。カウパーをすくい取るようにして、口付ける。光流の身体が揺れる。やはり、少々敏感になっているようだ。

「咲音…っ」

「欲しいんでしょぅ、光流」

「てめぇが、そうし向けた…くせにっ…」

「ほら、欲しがってよ…光流。その声で、強請って?」

抱きしめて耳元で囁く。耳朶を噛んで甘く息を吹きかけた。抱いた身体が震える。そして、光流の腕がのろのろと上がって咲音の服にかかった。脱がせてくれる指が、もどかしげにベルトを外す。咲音も黙って光流のシャツのボタンへ手を掛けた。咲音のズボンがくつろぐ前に、光流の肩からシャツが落ちた。光流の指が咲音の性器にかかるころには、光流のズボンも緩みきっていた。

「…さき、と…」

光流の腕が咲音の腰を引き寄せて、咲音のペニスへ口付けた。先ほどのお返しだろうか。まだ柔らかいものが全て口に含まれ、ゆっくりと舌先で転がされて変化を呼び覚まされる。熱が腰に急速に集まっていった。立ち上がるのに、時間はかからなかった。

「咲音…欲しい……」

言わなければ、ずっと焦らされることを覚えたのだろう。光流がうつむき加減になりながら、小さく呟く。固くそそり立ったペニスに唇を寄せながら言ってくれたから…よしとしよう。咲音は光流の身体を抱き上げると、ソファの背もたれへ向き合うようにして下ろした。

「咲音…」

振り返る光流の頬にキスをする。ズボンを下ろすと、指先で入り口を確かめた。潤滑剤が体温で溶けて、潤っている。そこを広げるようにして、指を押し進めた。何時もだったら最初は痛がる光流の口から、僅かに堪えた嬌声が漏れた。これならば、まだ固いが挿れてしまっても大丈夫かもしれない。なにしろ、光流の手によって育てられたものが、もう限界を訴えている。……早く、光流を感じたくて仕方がない。

「光流…愛してる…大好きだよ」

「ん…分かって、る…ぅあ、ぁ――!」

ゆっくりと、解されていない身体を割った。光流の腕が、ソファにしがみつく。逃げようとする身体を抱き寄せる。腰を捕まえて引き寄せると、腰だけ突き出したような格好になった。背中に覆い被さるようにして、耳元に口を寄せる。

「ねぇ、光流…強請るみたいな格好だね…」

「……っふ、ぅ…言う、な…んっ」

収めきったそれを動かしたら、嫌がる言葉の代わりに、鼻を通るような声が聞こえた。背中が震えて、筋肉がなめらかに動くのが分かる。掌を背中へ触れさせて、指先でそれを感じる。躍動。この身体を今支配しているのは、自分なのだという実感。促すようにして動く内壁に誘われて、咲音は腰を突き上げた。

「ひっ…ぅあ――っ!」

自分の下で踊る身体。その綺麗な動きを誘うように、強く掴んだ腰を幾度も穿つ。我慢していたこともあって、最初に光流が果ててソファカバーを汚す。だが、それで止まるはずもなくて、咲音は襞を擦り上げては収縮する入り口を押し広げ、手で光流の性器へ刺激を与えて強制的に復活させる。辛いと生理的な涙をこぼすのも気にせず、まだ精液が残っている先端を指先でひっかく。大きく反応した身体が咲音を締め上げて、咲音も中へと放った。

「光流、光流……もっと、欲しい…もっと…光流が欲しい……」

ゆっくりな動きへと変えて、耳元で囁く。肌に感じるのは熱で汗ばんだ皮膚。愉悦を解放したばかりだというのに、熱は納まっていなかった。咲音が復活する時間というよりは、光流が辛そうな息を整える時間、という方が正しいだろう。ぜいぜいと喉奥を鳴らしていた光流が、ようやく息をついてソファを握る手を緩めた。そこへ咲音の指が重なる。そして再び強く腰が突き上げられた。

「……っっぁう!」

「光流」

「はぁっ…ぁ、あ……さ、き――」

また力がこもる光流の指先は、咲音のそれに絡んだ。ぐっと握りしめられる強さに、光流の快楽と…辛さを知る。それでも受け入れてくれる身体は、深くまで咲音をくわえ込んで、背をしならせていた。潤滑剤だけでなく、咲音の精にも汚された内部は、出し入れされるたびにぐじゅぐじゅと湿った音を響かせる。

「…光流、大好きだよ。もっと欲しくて…たまらないんだ……」

「……く、ぅ…っう……あぁ――…咲、音! 咲音っ」

催淫剤に加えて、前立腺を直に刺激する体位だからだろう、また光流が高みを超えようと身体を震わせた。それを押さえ込むようにして、咲音はペニスの根本を強く掴んだ。痛みに、光流が息を詰まらせたような声を出した。竿を4本の指で押さえると、人差し指だけずらして先端のくぼみへ触れた。溢れて来るものと先ほど放ったもので濡れている。そこを擽るようにして遊ぶと、辛そうに光流の身体が弾んだ。

「ねぇ、光流…光流も、もっと欲しがって…?」

「んぁ…う……っさ、きと…」

入り口も指の腹で押さえつけると、また身体が悶えた。常に強く圧迫されている光流の内部は気持ちよすぎて、もうそう長くは保たないだろう。でも、その前に言わせたかった。聞きたかった。光流の言葉で。壁を擦り上げていく先端から、びりびりと痺れにも似た快楽が襲ってくるのを、耐える。

「聞かせて…光流」

「咲音、さき、と……俺の、もんなんだろ…っ」

「!」

「焦ら、すなよっ…欲し、がら…っく、ても…咲音…あぁっ…」

欲しがらなくても、咲音は俺のものなんだろ。……なんて、我が儘な答え。なんて、愛しい人。傲慢でいて、愛おしい。その強さに、惹かれた。だから、欲しがった。手に入れたいと、願った…。想いそのままに、奥を貫く。強く突いて刺激を快感へ変える。

あぁでも、やっぱり貴方は私のものにはならないのだ。何故なら、私こそが貴方のものなのだから。

「光流…っ!」

今だけは腕の中に居ることを確かめたくて、咲音はしなやかな身体を、強く抱きしめた。



旅行から帰ってきた次の日も、休みにして置いてよかった。静かに戻ってきた日常…ベッドに伏せている光流を見ながら、咲音はミルクティのカップを傾ける。のろのろと顔を上げた光流が、腕だけを伸ばしてそれを欲する動作をした。

「起きないと飲めないよ」

「起きられなくしたのは、てめぇだろうが……」

「光流もすごく感じてたくせに…どこか途中でやめて、それで終わりに出来た?」

「………」

黙ってしまったのは、肯定の印だ。おそらく、言われた内容が恥ずかしくて枕に顔を隠しているのだろう。昨日は、二人一緒に果ててから、くたくたになってしまっている光流を考慮して、少し休んでからシャワーを浴びた。だが、洗っている最中にお互いにお互いが煽られて、シャワーを一度止めると、また繋がって相手を求めてしまったのだ。広い浴室で良かった。その後また身体を清めて出てきたら、光流だけでなく咲音も体力が限界に近づき始めていた。

ベッドに倒れ込むようにして寝て…気が付いたら昼。先ほど起きて紅茶を淹れたところだ。復活した光流が隣でもぞもぞと動いて起きあがる。顔をしかめている辺り、身体が辛いのだろう。冷めかけたミルクティを渡すと、美味しそうに喉を鳴らして飲み干してしまった。

「なぁ、咲音」

「ん?」

「何で俺が、すぐにどこか遠くへ行けるんだと思う?」

考えるように、咲音が黙る。だが、光流は返事を待たずにまた口を開いた。カップをサイドテーブルへ置いて、頭を咲音の肩へ預けて、ごく近くで…小さな声で話す。

「帰ってくる場所が、あるって分かってるからだ。絶対、お前がここで待ってるって、信じてるからなんだぜ」

ここ、ととんとんと肩を指先で叩かれた。咲音は嬉しくなってしまっていて声が出ない。…否、何を言って良いのか分からなくなってしまって、黙ったままだ。ただ、吃驚した顔で光流を見つめている。光流はそれを見返さずに目を伏せて、意味もなく何度も組み替えている指先を見下ろす。

「……みつ、る…」

掠れた声で呼ぶ名を遮るように、光流が咲音の名を呼び返し、言葉を続ける。

「咲音。……安心してどっか行けるのは、お前が、居るからだ」

だから。

「…あんま、不安になんなよ。押さえつけなくても、ちゃんと戻ってくる……分かってんだろ? 俺が帰ってくる場所は、ここだろ?」

覗き込んでくる光流の目元が赤い。答えの代わりに、その染まった眦へ唇を寄せた。乾いた唇が柔らかなキスの音を立てる。

「………。光流、またどこか行く気でしょ」

さすが、咲音は鋭かった。光流の行動パターンのほとんどを読んでいるのではないだろうかと思うほど、光流の思考や行動を先回りすることがある。咲音の目に移っている光流の顔が、しまった、という表情にさっと変わった。やはりか。

「わりぃ、明日からお客さんと旅行なんだ」

そうか、咲音との旅行の準備だけにしては、やけに夢中になっている期間が長いと思っていたのだ。つまりは、咲音との旅行だけでなく、そのお客さんとの旅行の準備までしていたのだろう。

「……光流」

「2、3日で戻ってくるからさ」

「光流」

どんどん、声のトーンが下がっていく。このままじゃヤバイ、と顔に書いてある光流が、慌てて咲音の腕を掴んだ。そして抱きつく。

「行ってくるよ」

こんなことをされては、行くなとも言えない。理由はどうであれ、珍しく抱きついてきた恋人を、抱きしめ返す誘惑に咲音は勝てなかった。ずるい。旅行の間や、さっきまでは、あんなに甘かったような気がしたのに…気のせいなのだろうか。今は恋人を抱いているこの手は、きっと永遠に…望む物を掴み続けることが、出来ないに違いない。



光を追おうとしても、音は追いつけるはずが無い。
光は、音よりもずっとずっと、早いのだから。
ただ…一周して戻ってくるとき、光は音の頬を掠めて触れていく。
音は、その手を掴みたくて仕方がないのに…捕らえることが出来ない。

だから、音はずっとずっと光を追い続ける。
追いつけないことが、分かっていても。
捕まえられないことを、知っていても。

それでも…音は光に恋いこがれているのだ。

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後書きもどき。

終了しました。まぁ、この二人のこんな関係はこの先変わることは無いでしょぅ。。。

ところで、ようやく、タイトルの意味が分かったという人も、いらっしゃるのではないでしょーか。まぁ、つまりが「光の音」ってのは「光流の咲音」。咲音と書いて、ものと読みます(笑)。言いかえれば、咲音は光流の物ってことなのです。

普段主導権を握ってるのは咲音。場のペースを掴んでいるのも咲音。光流をいいように扱ってるのも、咲音。でも…好きだという気持ちが強いからこそ、咲音は肝心なところで光流に勝つことが出来ないのですね(勝ち負けの問題なのか?)。そして、光流に咲音を手放す意志が無い以上、この関係は、ずっと続くのです(多分)。

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光の庭

0:記憶の場所 1:木陰と雲の中 2:光の庭
3:木の枝の上 4:名前呼ぶ声 5:秘密の場所
6:雨の庭 7:輝く香 8:籠の中の音 9:光追う手
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